J2首位快走。柏レイソルには「反則級」のFWが君臨する (3ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • photo by Getty Images

 いずれの選手にも共通するのは、献身性を備えていること。よく走り、ボールに絡み、守備にも労をいとわない。彼らの存在が、今の柏を支えていることは間違いないだろう。

 もちろん、日本人選手にも質の高いタレントが揃っている。江坂任のクオリティはJ1でも十分に通用するものであり、ヴィッセル神戸から加入したばかりの三原雅俊も、中盤の底で気の利いた働きを見せていた。最後方には日本代表の中村航輔も控える。この戦力を考えれば、やはりJ2レベルを超越していると言えるだろう。

 ネルシーニョ監督が求める守備の堅実さも試合を重ねるごとに強度を高めており、リアリズムも追求した采配にも隙はない。1年でのJ1復帰という目標は、このまま大きな試練もなく、成し遂げられるのではないか。そんな予感を漂わせる快勝劇だった。

 もっとも、個の力を前面に押し出した攻撃面には、改善の余地はあるだろう。今後はさらに警戒される試合も増えていくと考えられる。真っ向勝負で挑んでくる山口のようなチームは稀であり、対策を上回るための戦略が求められてくるはずだ。

 それでも経験豊富なブラジル人指揮官は、そうした状況も想定内だろう。この試合でも前線の個の力に依存するのではなく、「しっかりとボールを保持すること」を求めている。あくまで組織的に戦うことこそが、J1への近道であることをネルシーニョ監督は理解している。J1の舞台をはっきりと視界に捉えるなか、今の柏に慢心は見られない。

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