サッカールール改正でハンドの
基準再定義。反則になるケースは?

  • 清水英斗●取材・文 text by Shimizu Hideto
  • photo by Getty Images

 そして、これらの項目追加に伴い、旧ルールの"意図的"の考慮点からは、"予期していないボール"という記述が消えた。つまり、これまでの審判は、競技者とボールの距離、ボールのスピード、競技者の体の向きなどから、予期できるボールか否か=意図があったか否かを判断していたが、この部分を考慮しないことになる。

 また、"手や腕の位置だけで、反則とはみなさない"という記述も消えた。今後は長友のケースのように、手や腕の位置だけでハンドとみなす場合もある。新ルールは"意図"への言及が減り、手に当たる状況を切り分けることで、ハンドの基準が明確に再定義された。

 逆に、ハンドとはならないケースも、次のように定義されている。

・選手自身の頭または体(脚・足を含む)から直接触れる
・近くにいた別の選手の頭または体(脚・足を含む)から直接触れる
・手や腕が体の近くにあり、その手や腕を用いて自身の体を不自然に大きくしていない
・選手が倒れ、体を支えるために、手や腕が体と地面の間にある。ただし、体から横または縦方向に伸ばされていない
・GKがボールをプレーに戻すため、明らかにボールを蹴った、または蹴ろうとしたがボールをクリアできなかった場合、GKはそのボールを手または腕で扱うことができる

 たとえば、浮き球などをプレーしよう(対応しようと動く)として失敗し、そのボールが自分の腕に当たってしまった場合は、ハンドにならない。誰かに当たって跳ね返ってきたボールも、不自然に体を大きくしていなければ、ハンドにならない。スライディングしたときの地面との支え手も、そのまま下に突いた手なら、ハンドにならない。

 そしてGKの一文については、少し解説が必要かもしれない。

「よく見るシーンではありませんが、味方のバックパスをGKが蹴り損なって、ボールが転がった場面です。GKに聞くと、"手で触ってもいいか躊躇する"と言います。

 そもそもバックパスを捕球してはいけないルールは、なぜ作ったのか。GKが手を使うとボールが止まってしまいますよね。相手がチャレンジできない。それを防ぐためのルールです。

 でも、GKが自分にボールを留まらせないために、手以外で一度プレーした。そこでミスをしている。一度は意識としてボールをプレーに戻そうとした事実があるから、それは次のフェーズに行ったということで、手で触ってもいい、と。そこがクリアになりました」

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