10試合連続白星なし。結果の出ない
風間グランパスは美学を貫けるか

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

 勝ち運から見放されたチームに、よくある結末だった。

 1点リードで迎えた後半アディショナルタイム、相手のスローインによるリスタートに、名古屋グランパスの選手たちはまるで警戒心が薄れていた。左サイドの山中亮輔にフリーの状態でクロスを入れられると、逆サイドから走り込んだ関根貴大の動きを捉えきれず、強烈なヘディングシュートを叩き込まれてしまう。最終盤に訪れた悪夢により、名古屋はまたしても勝利を手にすることができなかった。

土壇場で同点ゴールを許し、がっくりとうなだれる名古屋の面々土壇場で同点ゴールを許し、がっくりとうなだれる名古屋の面々 これで10試合勝利なし――。序盤戦こそ快進撃を続けた名古屋だったが、その勢いは今や遠い彼方へと置き去られている。

 浦和レッズの本拠地に乗り込んだ一戦。立ち上がりの名古屋は、とても低迷するチームとは思えない好パフォーマンスを見せていた。開始早々にCKの流れから和泉竜司が先制ゴールを奪うと、その後もショートパスとサイドの突破力を生かした戦いで、相手を押し込む展開が続いた。

 25分には中盤でのボール奪取から、左サイドに抜け出したガブリエル・シャビエルへと渡り、そこからのクロスをファーサイドで待ち受けていた前田直輝が豪快に蹴り込んで、2点のリードを奪った。

 目立ったのは、浦和の不甲斐なさ以上に、名古屋の躍動だった。キレのあるドリブルで右サイドを切り崩す前田、最前線で確実にボールを収めるジョー、果敢にくさびを打ち込むジョアン・シミッチのパスワークも冴えわたり、多くの時間帯で浦和陣内に攻め込んでいた。ここで3点目を奪えていれば、勝負は決していただろう。

「前半はすばらしい出来だったと思いますが、そこで3点目を仕留められなかった。そこのところが非常に残念です」

 風間八宏監督は無念の言葉をにじませる。多くの選手も同様のコメントを残しているように、チャンスを逃したツケを最後に払わなければいけなくなってしまったのだ。

 好機を逃し続ければ、流れは変わるもの。前半終了間際にミスから失点すると、後半は逆に浦和に押し込まれてしまう。ボール保持もままならず、何とか後方でしのいでも、再び相手にボールを渡して波状攻撃を浴びるという負のスパイラルだ。

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