クラブ運営はつらいよ。今季の浦和レッズを見て思う強化の難しさ

  • text by Tsugane Ichiro
  • photo by AFLO

福田正博 フットボール原論

■Jリーグで毎シーズンタイトル争いを続けること、常勝チームをつくり上げることは至難の業だ。では、その困難なミッションを遂行するために、プロフットボールクラブには何が必要なのか? 元日本代表の福田正博氏が今季の浦和レッズを見て考えを述べた。

 今シーズンの浦和レッズを見ていると、Jリーグにおけるチームづくりや世代交代など、クラブ運営の難しさをあらためて考えさせられる。

 浦和は昨季途中から指揮を執っていたオズワルド・オリヴェイラ監督を解任。昨シーズン、堀孝史監督の解任後、オリベイラ監督が就任するまで暫定監督をつとめた大槻毅監督に再びチームを託している。

今季途中から浦和を率いる大槻監督今季途中から浦和を率いる大槻監督 これまで浦和は、チームを運営するクラブ組織として、チームづくりのノウハウをうまく蓄積できていない部分があると私は考えている。近年は、どの監督の時代であっても「優勝」を目標に掲げてきたが、クラブ主導というより監督主導の色合いが濃く、クラブ設備から選手獲得に至るまで、その時々の監督の意向が反映されてきた。

 もちろん、監督が代わるたびにクラブが組織として学習してノウハウを蓄積していたら、クラブ力はさらに高まっていたはずだ。たとえば、設備ひとつをとっても、大金をかけて作ったものが、監督が交代するとまったく使われなくなるケースもあった。

 ピッチで戦うチームに焦点を当てれば、オリベイラ体制での浦和は、監督が目指すスタイルと、選手が得意とする戦い方に少しギャップがあった印象だ。クラブ全体を貫くコンセプトが定まっていないことが影響し、戦力のポテンシャルが十分に発揮されないことがあった。

 現在の主力であるFW興梠慎三、DF槙野智章、GK西川周作というセンターラインは、2012年から2017年まで浦和を率いたミハイロ・ペトロヴィッチ監督(現・札幌)のもとで確立されたものだ。ペトロヴィッチ監督のスタイルは、3−4−2−1の布陣で攻撃に特長のある選手を配置し、数的優位を作り出しながらポゼッションで相手を押し込んでいくもの。そのサッカーを実践するために、前出の選手たちを他チームから獲得した。

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