海外移籍続出。転換期の鹿島にあって、
町田浩樹は変わらぬ強さの象徴

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

「シーズンを通して戦うことでいろいろなFWと、今日(浦和戦)で言えば、興梠(慎三)選手のようなすばらしい選手と対峙できる。試合に出て、ミスや失点をすることもあるが、そこから学ぶところはたくさんある。それは練習だけでは感じられないことだと思う」

 23歳の鈴木や、20歳の安部が海を渡るのを見て、「もちろん、(彼らのように)海外へ行きたいという気持ちはある」と町田。だが、「チームにまだまだ貢献できていないので」と言い、こう続ける。

「その前に、国内で結果を出さないといけない。(海外移籍は)しっかりチームに貢献してからの話なので」

 同点ゴールを許したシーンでは、警戒していた興梠に、まんまと背後を取られた。

「試合に出ているからには、結果を残さなければいけない。だからこそ、こういう試合を勝ち切りたかった。自分のところから失点したので、そこはもっとレベルアップして、勝ち続けられるようにしたい」

 悔しそうに振り返る表情には、今季ポジションを手にしたばかりの若手の甘えはなく、常勝軍団を支える覚悟がうかがえる。

 時代は変わった。じっくり時間をかけて高卒新人を育て、チームを強化する。そんなやり方は、もはや今の時代にはそぐわない。常勝軍団と言えども、否応なく変化を求められる。

 だが、移籍補強の力を借りつつも、その一方で、クラブの伝統である生え抜き選手が育たなければ、勝ち続けることは難しい。ユース出身の21歳は、転換期を迎えた鹿島の、それでいて変わらぬ強さを象徴している。

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