海外移籍続出。転換期の鹿島にあって、
町田浩樹は変わらぬ強さの象徴

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 しかも、"外様"を加えたからといって、志向するサッカーが大きく変わることはない。誰が出てもやるべきことに忠実な、実に手堅いサッカーが繰り広げられる。そこが鹿島の強さである。

 7月31日に行なわれた直近の試合、J1第16節の浦和レッズ戦を見ても、控え選手を含めた鹿島の登録メンバー18人のうち、11人(外国人選手4人を含む)が移籍加入の選手だったが、鹿島は鹿島だった。昌子、植田に代わってセンターバックを務める、DF町田浩樹が語る。

「選手が変わってもブレない哲学が、鹿島にはある。代わりに出た選手がチャンスをつかんでいるので、(シーズン途中に選手が入れ替わることを)気にしていない」

 結果的に先制しながら、同点に追いつかれ、試合は1-1の引き分けに終わった。今の鹿島には経験豊富な選手が多いとは言えず、不安定さも垣間見える。しかし、序盤は相手の攻撃に苦しみながらも、試合のなかで修正を施し、徐々に主導権を握っていく。そんなゲーム運びは、鹿島らしいものだった。

 チームを率いる大岩剛監督も、「最後は勝ち切りたかったが、プランどおり、自分たちのゲームをしてくれた。いいゲームだった」と話しているとおりだ。今季もここまで、AFCチャンピオンズリーグではベスト8に勝ち残り、J1でも首位のFC東京と勝ち点4差の3位につけている。

 とはいえ、移籍加入組への依存度が高まるのは、必ずしもいいことばかりではない。若手育成の観点からも、地域密着の観点からも、やはり自前で育てる生え抜きの選手は、Jクラブにとって欠かすことのできない存在だ。

 その点においても鹿島は、盤石とは言えないまでも、抜かりなく手を打っている。それを証明しているのが、前出の町田である。

海外へ移籍した植田直通や昌子源らの穴を埋めている町田浩樹海外へ移籍した植田直通や昌子源らの穴を埋めている町田浩樹 2015年に鹿島ユースが初めて日本一(高円宮杯U-18優勝)になったときのメンバーである町田は、プロ4年目の今季、主力に定着。植田、昌子とレギュラーが去った最終ラインを支えている。今年8月に22回目の誕生日を迎えるセンターバックは、充実の今季についてこう語る。

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