2019.07.21

中村俊輔の加入が横浜FCに
もたらす効果。J1昇格への切り札となる

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 梁川剛●写真 photo by Yanagawa Go

「嫌な空気が流れた」と、横浜FCの選手は振り返っている。

 しかし、後半は打って変わってギアが入る。7月に新たに入団したFW皆川佑介にくさびのパスが入るようになり、これをキープすることで攻撃が旋回。前半は右サイドに配置していたMFレアンドロ・ドミンゲスを、トップの一角へ入れたことも功を奏し、敵陣でボールが回るようになった。

「際のところで勝ち切れなかった、特に皆川を潰せていない。ポジショニングのところで(前に)入られてしまい、ファウルになってしまっていた」(栃木・田坂和昭監督) 

 50分、皆川が右サイドからのクロスを収め、ゴール前で潰されながらファウルを得る。そのFKをレアンドロ・ドミンゲスが右足で蹴り、ゴール左上隅へ鮮やかに放り込む。35歳になるが、2011年JリーグMVPの称号は伊達ではない。

 攻撃が駆動したことで、横浜FCは一気に勝機を広げる。ボランチに入った38歳の松井大輔が奮闘する。慣れないポジションにもかかわらず、攻守に機転を利かせ、世界を駆け抜けてきた意地を見せた。そして71分、松井が入れたボールに対し、またも皆川がゴール前で踏ん張り、必死にボールを落とす。これを受けたルーキー、17歳の斉藤光毅が右足を一閃し、逆転に成功したのだ。

「先制され、(精神的に)崩れそうになったが、やり続けられた。2本ともすばらしいゴールだった。少しずつ、チームとして自信を持ってきている」(横浜FC・下平隆宏監督)

 横浜FCは2-1で接戦を制した。これで破竹の4連勝。5月にタヴァレス前監督から下平監督へと交代して以来、「コミュニケーションの面でストレスがなくなった」という声は多く、チームの調子は確実に上向いている。レアンドロ、松井、そして今年40歳になる守護神の南雄太などベテランが気を吐く。それに呼応するように、すでにJ1のクラブも食指を動かす斉藤、中山克広のような気鋭のアタッカーも出てきている。

 ベテランと若手、中堅も含めたチーム内の競争が、横浜FCの命運を決めるだろう。たとえばサンフレッチェ広島から移籍した皆川は元日本代表だが、まだ期待に応えられているとは言えない。期すものがあるはずだ