スペインで奮闘。日本フットサルに新風を吹き込む22歳のストライカー (4ページ目)

  • 河合 拓●取材・文 text by Kawai Taku
  • photo by Kawai Taku

 ちなみに、エルポソBの選手たちは大学生の選手もいるという。彼らはクラブから家と食事が与えられ、月に数万円の収入に加え、大学の学費も全額クラブに負担してもらっているそうだ。フットサルで結果を残せれば、他クラブからより高い給料で引き抜かれていき、芽が出なければ、そのまま社会人になるという流れができている。

「選手はみんな頑張りたいと思いますし、環境的にはフットサルに集中できます。練習はちゃんとできますし、メディカルも日本ほど充実はしていませんが、無料で受けられます。クラブの環境がしっかりしている強みがありますね」

 サッカーでも元日本代表MF本田圭佑はオランダ2部リーグのVVVフェンロで結果を残し、CSKAモスクワ(ロシア)やミラン(イタリア)といったビッグクラブへとステップアップしていった。エルポソBの清水より若い選手たちも、すでに3選手が2019-20シーズンの開幕を前に他クラブへステップアップしたという。清水自身にもオファーがあったというが、さまざまなことを考慮した末に残留を決意。新シーズンもエルポソBで戦うことを決断した。

「年齢的にも、エルポソBで絶対的な存在にならないといけないと感じています。年間のゴール数で言えば、30点は取らないといけない。昨シーズンは1試合目で2点取れましたが、そこからはズルズルとノーゴールの試合が続き、ようやく後半戦になって良い状態で戦えました。今年は環境にも慣れましたし、最初から"目標は30点"という基準を持って戦えたらいいと思います。1シーズン戦うことで、スペインでも名前を広げることはできたので、2年目、3年目はどう流れをつくるか非常に重要な1年になると思っています」

 かつては多くの日本人フットサル選手が、レベルアップする場を求めて欧州へと渡っていった。現在、国内には全国リーグであるFリーグができ、そうした選手は稀になってきている。清水が世界最高峰のLNFSで戦える実力を身につけることができた時、日本フットサル界にまた新たな風が吹くことになるかもしれない。

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