誤審は関係ない。浦和レッズの問題はゴールの匂いが感じられないこと (3ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

 直後に1点を返したのは評価できるものの、よもやの中断により、横浜FM側の集中力が切れていたことも否定できない。その後の攻勢も決定的な場面につながる機会は少なく、むしろ攻守のバランスを崩したことで、さらに失点を重ねる危険性のほうが高かった。

 問題はやはり、前半の戦い方だっただろう。自陣ゴール前でしのいでも、前線の人数が少ないために、出しどころが限られる。さすがの興梠慎三もひとりでは相手の標的となり、ボールロストを繰り返すだけだった。

「前半は守備よりも、奪ったあとの攻撃のところで、マリノスの切り替えの速さもあってボールを握れなかった。そちらのほうが問題だったと思います」

 大槻毅監督が振り返ったように、攻める時間がほとんどなかったことが、試合を難しくしたのは間違いない。

 大槻体制の発足以降、これで2勝1分2敗となり、浦和は思うように勝ち点を積み重ねられていない。前節のベガルタ仙台戦では高い位置を保ち、積極的な戦いを実現できていたが、この日は、不運が重なったとはいえ、受け身になりすぎた。

 当然、相手のスタイルによる部分もあるが、試合によってパフォーマンスに差が生じているのは、確たるスタイルが備わっていないからとも言えるだろう。とりわけ、ゴールの匂いが感じられないのは大きな問題で、ここまで15得点はリーグワースト4位の数字である。

 シーズン途中で監督が代わり、改革の途中であることは間違いない。しかし、すでにシーズンも半分以上過ぎていることを考えれば、残された時間は多くない。いまだ攻撃の形を見出せない状況下で、浦和は果たして明るい未来を描けるだろうか。

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