2019.07.11

久保建英の穴は8割方埋まった。
FC東京優勝へのカギを握るナ・サンホ

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 藤田真郷●写真 photo by Fujita Masato

 J1リーグ第18節。2位の川崎フロンターレがサガン鳥栖に引き分けたのに対し、首位を行くFC東京はガンバ大阪の挑戦を順当に退けた。久保建英がチームを離れて4試合が経過したが、これで成績を2勝2敗の五分に戻した格好だ。川崎と入れ替わって2位に進出した横浜F・マリノスとの勝ち点差は6。後続との差は詰まっていない。

 FC東京には優勝経験がない。年間4位が最高の成績だ。昨季も、前半戦は2位につけながら失速。結局6位に終わっている。どこか”お人好しで頑張りの利かないチーム”との印象だ。

 今季はホームの味の素スタジアムがラグビーW杯の会場となるため、リーグ戦の後半にアウェー戦が多く組まれている。逃げ切って初優勝を遂げるのか。それとも後続の馬群に飲み込まれるのか。なんとも微妙な状況だ。次節、第19節の対戦相手は3位の川崎。ターンニングポイントと言うべき大きな局面を迎えている。

 とは言え、レアル・マドリードへ移籍した久保の穴をどう埋めるかというチームにとって最大の課題は、韓国代表の22歳の台頭で、8割方解消されている。

今季からFC東京でプレーする韓国代表ナ・サンホ 3-1で逆転勝ちしたG大阪戦。FC東京の得点者は永井謙佑とディエゴ・オリヴェイラで、永井は2ゴール1アシストの活躍だった。数字を見る限り、マン・オブ・ザ・マッチは永井で決まりのように見えるが、実際は際どい争いだった。筆者が判定員ならナ・サンホに軍配を挙げているだろう。

 永井が決めた同点弾、逆転弾のアシスト役である。同点弾をアシストした37分のシーンでは、左サイドバック(SB)の小川諒也からパスを受けると、左サイドのライン際を突破。遅れてマークに来たG大阪の右センターバック高尾瑠を、身体の向きをくるりと変える巧みなフェイントで縦に外すと、ゴールライン際まで深々と侵入した。永井はそのマイナスの折り返しを蹴り込んだだけだった。その0.8点分はナ・サンホのゴールと言いたくなる、単独で崩し切った完璧なアシストプレーだった。

 光州FCから今季加入した左利きだ。身長は172cm。174cmの久保より見た目はひと回り小さいが、チームは久保がチームを去る日を見越して獲得したに違いない。ドリブルを得意とするアタッカーだ。