スタジアムに足を運ぶ幸せを届けたい!ガンバ大阪が試みる集客戦略 (7ページ目)

  • 高村美砂●取材・文 text by Takamura Misa

「昨年、Jクラブとしては史上2クラブ目となる選手OB会が発足し、レジェンドのみなさんとの関係性も、これまで以上に密度が濃くなりました。それもあって、開幕戦のイベントでは加地さんたちにご参加いただき、長く応援いただいているコア層のファンの方に『今年もよろしくお願いします』との思いでトークショーを行ないましたが、当日のGステージ前は、これまで見たことのないような人垣ができたんです。

 それを目の当たりにした時に、こうしたイベントは、単にトークショーそのものを楽しむだけではなく、加地さんたちを通して過去の歴史に想いを馳せ、懐かしみ、それをきっかけにファン同士が盛り上がることもできると感じました。それを踏まえて、以降も定期的に選手OBのみなさんにはイベント等々にご協力いただいていますが、そうした伝統を大事にしながら前に進んでいくことも、クラブとしては大切にしていかなければいけないと考えています」

トークショーが行なわれたGステージ前は多くのファンであふれていた。©GAMBA OSAKAトークショーが行なわれたGステージ前は多くのファンであふれていた。©GAMBA OSAKA そうしたさまざまな施策の先にクラブが目指すのは、1試合でも多く"満員のスタジアム"を実現することだ。もちろん、そこに試合の面白さや結果が伴えば、より理想的で、パナソニックスタジアム吹田で"タイトル"を掲げることは、今もクラブに関わる全員の目標である。ただし、それと並行して「たくさんの人の記憶に残るスタジアム」が実現すれば、外側からチームを後押しすることができると山崎氏は言う。

「私たちクラブスタッフには、現場で戦っている選手、スタッフのみなさんに直接的な力を貸すことはできません。ですが、スタジアムが満員になれば、間違いなく選手にも大きな力を与えられるはずです。と同時に、そうした私たちの取り組みにお客様が応えてくださり、一緒になってスタジアム作りに取り組んでくださっている気持ちをこれからも大切にしたい。

 だからこそ、今後も集客マーケティングをもとに、ご来場いただく方にピンポイントで突き刺さるようなイベントや施策を続け、応援してくださるみなさんにこのスタジアムに足を運ぶ幸せを感じ取っていだきたいと考えています。それがたくさんの方々の募金によって作っていただいた、この素晴らしいスタジアムを運営する私たちの責任でもあると思っています」

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