久保建英級の逸材がズラリ。U-20フットサル日本代表がアジア制覇 (4ページ目)

  • 河合拓●文 text by Kawai Taku
  • photo by Kawai Taku

 また、数少ないトレーニングの回数で、中身の濃いトレーニングができたことも成功要因だろう。チームには鈴木監督だけではなく、こちらも選手時代にスペインでのプレー経験が豊富で、指導者になってからはシュライカー大阪をFリーグ優勝に導いた実績のある木暮賢一郎コーチもいる。紅白戦やセットプレーを指導する際、鈴木監督が一方のチームを指導していたら、もう一方を木暮コーチが指導することで、時間を有効活用していった。

 2年前の大会を戦い、ベスト8で敗れたチームには、清水和也(エルポソ/スペイン)や植松晃都(湘南ベルマーレ)といった個の能力の高い選手が多くいた。今回のチームは、選手の個の能力がそこまで高くはなかったが、限られた時間を有効に使い、組織力を高めることで、それぞれの能力を引き出すことができた。この二頭体制も、アジア制覇には欠かせなかっただろう。

 今大会に出場した19歳以上の選手たちは、年代別代表でのプレーは今大会が最後になる。貴重な経験を積んだ今後の彼らは、プロクラブである名古屋オーシャンズをはじめ、Fリーグのクラブで活躍することが期待される。専用のアリーナを保有する名古屋は、欧州サッカークラブでも限られたトップクラブしか有していないトレーニングマシンを所有しているなど、理想的な環境が整っている。日本でトップレベルの選手になれば、将来的に世界中のトッププレーヤーが集まるスペインなどの海外リーグに進出できる可能性も出てくる。

 現在、Fリーグは長らく新陳代謝が行なわれず、リーグが発足した2007年から10年以上もプレーを続けているベテランも少なくない。若い実力のある選手たちの出現が待たれているが、今回のU-20代表の活躍は、フットサル界の若い選手たちにとっても刺激となったはずだ。また本石の例などは、ユース年代のサッカー選手で、将来日の丸を背負って世界と戦いたいと考えている選手にとっても、良いヒントになるだろう。

優勝後、選手たちは口々に次の目標として「A代表入り」を挙げた。残念ながら今回のチームが国内で国際試合を戦う機会はなかったが、数年後、再び青いユニフォームに身を包む、彼らの姿が見られるかもしれない。

4 / 4

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る