「久保建英抜き」の首位FC東京が、
初優勝するために必要なこと

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 山添敏央●写真 photo by Yamazoe Toshio

 劣勢に立たされたFC東京だが、直後に同点弾を決める。17分、GKが蹴ったロングボールに高萩洋次郎が競り勝ち、頭で背後につなげる。これを受けた左サイドのナ・サンホが中央に切り込み、右足を一閃。GK朴一圭がつかみそこねてゴールラインを割った。

「反撃のきっかけになってよかった。練習からワンテンポ外し、切り返してのシュートを練習してきた。それがミスを誘った。右でもいいが、左はやりやすい。代表でもプレーする機会が多いから」(FC東京/ナ・サンホ)

 久保移籍後に抜擢されているナ・サンホの一撃だった。

 そしてFC東京は、チーム戦略を確実に遂行した。38分、GK林のロングスローを左サイドで受けた高萩は、単純にハイラインの背後を狙い、後方から猛然と走る永井謙佑にパス。永井はGKと1対1になり、ループシュートで決める。

 さらに後半10分には、自陣右サイドで室屋成、高萩の守備でボールを奪った後、左サイドの裏を走る永井へパス。永井はドリブルでエリア内に侵入し、逆サイドのディエゴ・オリヴェイラのヘディングシュートをアシストした。

「(裏を狙う自分たちの戦い方が)はまったかなと。ある程度はボールを持たせても、パワーをセーブしながら、ペナルティエリアに入って仕掛けられた。ディエゴ(オリヴェイラ)に(得点を)取って欲しかったので、後半戦に向け、このタイミングで(2トップで)取れたのはよかった」(FC東京・永井)

 後半17分にも、左サイドバックの小川諒也から相手の右サイドバックの裏を狙うパスが出て、またも永井が走り勝って右足でシュート。GKが弾いたところ、オリヴェイラが再び、押し込んだ。

 その後、FC東京は大差をつけたことで主力選手を下げると、劣勢に追い込まれた。仲川に1点を返され、もう1、2点を失ってもおかしくないほどだった。

「かなりつないでくるんで、(対応に)疲れました。ただ、やりやすかったのはありますね。守って奪ったら、ビッグチャンスになるので。得点は狙いどおりの形です」(FC東京・橋本拳人)

2 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る