マリノスは「現実主義」より「ロマン」。
スタイル続行で天下を狙う

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

「11対11で人数もそろっているし、プレスもかけられる。しっかりとファーストディフェンスで潰せるシーンもあったので、引く必要はないと思っていました」

 カウンターで失点を重ねても、あくまで高いラインを保ち続ける。この強気な姿勢を、無謀だと笑うことはできないだろう。サッカーの歴史を紐解けば、常に革新が新たな時代を築いてきたからだ。

「私たちのサッカーはエキサイティングであり、見に来てくださっているファン・サポーターの方がワクワクするようなサッカーをやってきた。それを変えるつもりはまったくないし、2年目の段階でもいいチームになっていると自負している」

 オーストラリアからやって来た革命家は、自身のスタイルを貫き、天下を取ろうとしている。もちろん今はまだ、内容と結果が伴わない状況にある。それでも、昨季は残留争いに苦しんだチームが、今季はシーズンの半分を終えた段階で上位争いを演じられるまでになったのだ。この劇的な成長が、さらなる進化を期待させる。

「まだまだ発展途上だし、学ばなければいけないことはある。今日のようなカウンターで来るチームに対して、どう戦うのか。この教訓をどう生かすかだと思う。しかし、自分のやろうとしているサッカーがここで止まることはない。突き進んでやっていくだけ」(ポステコグルー監督)

 内容と結果は相反するものではない。両立できるものである。横浜FMは、その崇高で、困難なミッションに挑み続けていく。

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