横浜FMが暫定2位に浮上。「攻撃は最大の防御」の着地点を発見か (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by KYODO

 前半8分、中央のMF天野純にボールが渡った時、右サイドバックの和田拓也が中に走ってマーカーを引き連れる。それにより右サイドでフリーになったFW仲川輝人にパスが渡ると、決定機を迎えた。続いて前半11分、右サイドバックの和田が中央に切れ込みながら、ワンツーで中の人を動かし、右でフリーになったMF山田にパス。シュートはポストを叩くが、セカンドボールを拾った左サイドバックのティーラトンが、左足のクロスを送り、FWエジガル・ジュニオに合わせた。

 どちらも得点には至らなかったが、攻撃の連動性の高さを見せつけた。

 一方、2バックに等しいほど前がかりになるため、一発を放り込まれ、崩れる可能性もあった。事実、昨シーズンは守備の乱れで失点を重ね、リズムを失い、連敗した。波が大きかった。

「(戦術的に去年よりも)理解が深まっているし、メンタルも強くなってきた。前節(清水エスパルス戦)は逆転負けして悔しい思いをした。そのなかで選手自身が、どう戦うべきか、あらためて考えてくれた。去年のような、いいときと悪いときの差が小さくなっている。自信を持ってプレーできているのが大きい」(ポステコグルー監督)

 横浜FMは松本の頑丈さに手を焼いた。しかし、攻め続けることで、確実に相手を消耗させていたのだろう。64分にFW大津祐樹を交代で投入すると、攻撃の強度はさらに上がって、その優位が露わになった。

 80分だ。バックラインでパスを回した後、DF畠中槙之輔が左タッチラインのFW遠藤渓太に展開。松本はこれに対応するが、疲労からか出足が鈍る。外へのパスで中のスペースを作り、遠藤のパスが再び中へ入る、そこを大津が走り抜け、1対1で走り勝つと、エリア内のエジガル・ジュニオに折り返した。エジガルは相手選手を背負いながら、力と技で反転してかわし、右足でシュートをゴールに叩き込んだ。

 最後は個の強さが出たが、それはチームとして攻め続けた"報酬"だった。

「相手はブロックを作って守ってきて。なかなかスペースをもらえなかった。自分たちが動いてスペースを作りながら、ハードワークを続けた。そこに(大津)祐樹が入って、粘ってクロスをもらって、反転からシュートを決められた」(エジガル・ジュニオ)

2 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る