知念慶はFWなのに寡黙。「ボール出せ!」と声を荒げない理由がある (2ページ目)

  • 原田大輔●取材・文 text by Harada Daisuke
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

―― 今シーズン、J1で決めた4得点のうち、自分が思い描いている形から決めることができたゴールはありますか?

知念 (J1第6節の)セレッソ大阪戦で決めたゴールですね。(田中)碧からパスが来たとき、マークされていた相手選手に身体をぶつけて前を向くことができたので。相手に身体をぶつける――その強さも自分の持ち味のひとつだと思っているので、ああいうプレーを増やしていきたいなと。

 でも、今シーズン自分が決めたゴールは、それぞれに持ち味を出せているという印象もあるんです。(J1第5節の)松本山雅FC戦はヘディングで決めましたが、ヘディングも自信を持っているところのひとつ。得点する前に、動き直していいポジションに入ることもできましたから。(J1第8節の)湘南ベルマーレ戦で決めたゴールはDFの裏に抜け出して決めたシュートですけど、あれは練習で奈良(竜樹)くんと意識しながらやっていたプレーでもあったんです。

―― 聞いていると、得意な形はひとつではないということですか?


知念 そうなりますね。自分の形にもいろんなパターンが出てきたのかなと。ただ、そのなかでも一番、その形に持ち込みたいのは、ゴールの近くで相手のマークを外してシュートするパターンなんです。

―― 不安になったり、落ち込んだりする時には、自分のプレー映像を見ると言っていましたが、自分自身のプレーを研究することもあるのですか?

知念 自分はまだサッカーを知らないと思っているので、周りのスタッフから指摘されたことを映像で見返して、把握するようにしています。自分が出た試合の映像は、だいたい2回くらいは見るんです。それを練習や試合で意識して取り組むことで、得点につながることも多い。そうやって、だんだんと自分のモノにしていく感じです。

―― 他の試合や選手のプレーは見ない?

知念 いや、見ますよ。悠さんの映像や、他の日本人FWの映像も。海外サッカーも見ますけど、正直、動きのキレが違いすぎて参考にならない(笑)。悠さんもプレーにキレがあるので、映像を見ても、「今のはマネできないな」って思うことが多くて。だから、「いかに自分の形を試合に出すか」という結論にたどりついたんです。

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