浦和レッズ「アウトレイジ第2章」は、クラブ再建の契機となるか (3ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 もっともその勢いは、長くは続かなかった。後半に入ると、ボール回しの質を高めた川崎に対し、防戦一方の展開になってしまう。奪いにいってもはがされ、スペースの生まれたサイドをあっさりと崩された。54分にレアンドロ・ダミアンに均衡を破られると、その後も反撃の糸口を見いだせないまま、時間だけが過ぎていった。

「やってやろうというところが出た前半と、できないことが出てきた後半。二面性が出たゲームだったと思います」

 大槻監督は試合後に、手応えと課題を口にしている。

 準備期間がわずか3日では、無理もないだろう。気持ちだけで結果は得られないのだ。確かなスタイルを備えた連覇中の王者には、それ相応の戦略と戦術が必要なのは言うまでもない。

 それでも浦和にとっては、ポジティブな結果となったことはたしかだろう。ほとんど負け試合だったにもかかわらず、1ポイントの上積みに成功できたのだから。

「4連敗のあとの引き分けなので、厳しい状況であることに変わりはない」と槙野は言うが、「自分たちが目指す方向というのは見せられたと思っていますし、生まれ変わっている姿を見せられた」と、前向きな言葉を並べた。

 強面の指揮官は、厳しい表情を崩さずに、試合を振り返っている。

「0−1であきらめないわけがないですが、そのあきらめない姿勢が最後に(得点に)つながった。ついているなというところもありますが、中断期間を経て、この勝ち点1を生かせたと言われるようにしたい」

 浦和にとっての幸運は、試合が2週間空くことだ。チーム再建に必要なのは、言うまでもなく時間である。

「戦術的な積み上げをしっかりやりたい」と語る大槻監督は、このインターバルでどこまで戦術を落とし込むことができるか。代表ウィーク明けに行なわれる第15節のサガン鳥栖戦が、「アウトレイジ第2章」の本当の幕開けとなる。

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