浦和レッズ「アウトレイジ第2章」は、クラブ再建の契機となるか (2ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 混迷を極めるなかで後任に就いたのは、大槻毅新監督である。昨季も途中に暫定的に指揮を執り、チームを立て直した実績を備える。オールバックの強面の風貌で「組長」「アウトレイジ」と呼ばれた新監督は、浦和を再建できるのか。川崎戦の焦点は、まさにそこにあった。

 果たして、大槻監督に率いられた浦和は、低調に終わった1週間前の広島戦とは明らかに異なる姿を示した。

 立ち上がりからアグレッシブにボールを取りにいき、ボールを奪えば素早く切り替え、鋭く相手ゴールに迫っていく。開始早々の宇賀神友弥のゴールはオフサイド判定で認められなかったものの、迫力十分のアタックは王者を十分に慌てさせるものだった。

 この日の浦和は前節から、スタメン5人を変更。システムも3−3−2−2から3−4−2−1へとマイナーチェンジを施している。スタメンのなかには大卒ルーキーのDF岩武克弥も抜擢された。

 前体制下では、メンバーはほぼ固定化されていたが、大槻監督はまずチーム内に競争力を促すことから着手した。

「メンバーは、たしかにわからないような状況でした。実際に今日のスタメンは、前日練習のメンバーとは違っていた。誰が出るかわからない状況になったことで、チームにいい刺激が入ったと思います」

 槙野智章が振り返ったように、閉塞感が漂っていたチームの雰囲気は、わずか3日間で大きく変わったという。実際に岩武をはじめ、ボランチに入った柴戸海、シャドーを務めたマルティノスら、これまで出番の少なかったメンバーたちが鬱憤(うっぷん)を晴らすかのようなプレーを見せて、チームに勢いをもたらしている。

 ボールを奪い、素早く縦に展開し、相手にボールが渡っても、再び激しく奪い返しにいく――。そのプレーには間違いなく、気持ちがこもっていた。これまでの主軸の「危機感」と、チャンスを与えられた選手の「渇望感」が、この日の浦和の原動力となっていたのは間違いない。

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