2019.05.31

Jリーグ新プロジェクトの狙い。
移籍金を10倍にするために必要なもの

  • 中山淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi

 テクニカルダイレクター・コンサルタントを務めるテリー・ウェストリーがそう説明する「ヘッドオブコーチング」とは、Jリーグアカデミーにおけるコーチングのリーダー的な人材を指す。わかりやすく言えば、今回のプロジェクトで主にテリー・ウェストリーが任された役割を引き継ぐことができる「育成のコーチングにおけるスペシャリスト」ということになる。

プロジェクトDNAについて説明するテリー・ウェストリー(左)とアダム・レイムズ(右)photo by Tanaka Wataru さっそく今年6月から、彼らふたりを講師として第1期のヘッドオブコーチング養成コースがスタートする予定だ。この計画が順調に進めば、ふたりが日本を離れた後も日本人の育成のスペシャリストによって後継者を紡ぎ続けることもできる。日本にサッカーの第一次産業を根づかせることができるかどうかは、JHoCの成否が大きく影響するはずだ。

「ただ注意してほしいのは、何かひとつの施策をピンポイントで行なうことで、すべてが劇的に変わるわけではないということです。それぞれが相互関係にある施策を考え、それらを並行して進めることが大切であり、それによって成果は得られるのです。

 たとえば私たちが進める『プロジェクトDNA』にも、相互に影響し合うプロジェクトが6つありますが、今後はそれらを連動させながら進めていく必要があります。なかでも、私たちはポスト・ユース年代の試合環境を改善することが重要だと考えています。イングランドでもそうでしたが、空洞化する18歳から21歳の選手が実戦経験を積める環境作りは急務であり、現在も本格的に協議を進めているところです」(テリー・ウェストリー)

 たしかに高校卒業後の進路は、アカデミー育ちの選手にとって大きな分岐点でもある。そのままクラブに残れたとしてもトップチームでプレーできる選手はほんのひと握りで、その多くはプレー機会を失い、行き場を失うこともある。もちろん大学進学という選択もあるが、全員が大学に進めるわけでもない。
 
 これまでJリーグでは、U-23チームのJ3参戦、2016年に復活したサテライトリーグを昨年からリニューアルさせた「育成マッチデー(若手育成のためのリーグ戦)」など、23歳以下の選手の実戦経験の場を創設してきた。さらに「プロジェクトDNA」では、17歳から21歳のトップクラスの選手を集めたU-21リーグの創設を模索しているようだ。