イニエスタはどうなる? 連敗脱出も「バルサ化」とはほど遠い神戸の今 (2ページ目)

  • 渡辺達也●文 text by Watanabe Tatsuya
  • photo by KYODO

 前半は選手の距離感が遠く、前線にボールが入ってもサポートや追い越す動きがなく、いかにもバランスが悪かった。3バックにして両アウトサイドを高い位置に置いた意味もなかった。

 だが安井は、前線でボールを持っている選手のサポートに入り、時には積極的に追い越してボールを引き出していた。彼が入ったことで選手感の距離が近くなり、神戸本来のパス回しができるようになった。それが2点目のゴールを生んだと言える。また、両アウトサイドも常に高い位置を取れるようになり、ウェリントン、ビジャのよさを引き出した。

 神戸を泥沼から救ったのは、無名の20歳の若者だった。そして、その安井を思い切って後半から使った吉田孝行監督の采配がズバリ当たったといえる。

 ただ、これで神戸が復活したとは言えない。「バルサ化」とはほど遠い3バックが機能したことで、次節もこのシステムでいく可能性は高いだろう。だが、アンドレス・イニエスタ、ポドルスキが完全復帰したときも、このシステムで戦うのだとしたら、おそらく機能しないだろう。さらに、この日の湘南戦で2ゴール1アシストの活躍を見せたウェリントンも外せなくなった。

 運動量のある日本人の使い方、外国人の起用法など、まだまだ吉田監督が頭を悩ませることは多そうだ。

2 / 2

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る