名古屋グランパスの強さは本物。「自分本位」のサッカーが面白さのツボ (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

 風間監督も「これで今季12試合目。やりながら、思ったように試合を進めることができている」と、手応えを口にした。


王者をしのぐ攻撃を披露した名古屋グランパス王者をしのぐ攻撃を披露した名古屋グランパス そんな名古屋の強さのベースにあるのは、いわば"自分本位"のサッカーである。

「相手選手はスピードがあるから、DFラインを下げようとか、そういうことはしない」

 DF中谷進之介がそう語るように、名古屋は事前に対戦相手を分析し、対策を講じ、相手ありきでサッカーをすることをよしとしない。あくまでフォーカスするのは、自分たちが何をすべきか。中谷曰く、「自分たちの枠組み、距離にしてしまえば、相手は関係なくなる」という。中谷が続ける。

「昨年と比べ、(今年の名古屋は)"自分たちのサッカー"がある。相手じゃない。自分たちで試合をどうにかできる。(やるべきことをやれば)相手がハマっていくというか、ついてこられなくなる。そこは手応えとしてある」

 一般的に「ツボにハマると強い」という表現があるが、そこには"偶発的な一発屋"のニュアンスが含まれる。今季の名古屋が「ツボにハマった強さ」を見せているのは確かだが、それは決して偶然ではなく、自らツボにハメることができているのだ。

 しかも、その精度は、試合を重ねるごとに高まっている。そんな印象を受ける。

 今季の名古屋が安定した強さを発揮できていることを示す、ひとつのバロメーターが、失点の少なさだろう。

 昨季の名古屋の総失点は59。最下位だったV・ファーレン長崎と並ぶJ1ワーストである。しかし、今季ここまでの総失点は、わずかに8。1試合平均で比較すると、1.73から0.66へと、3分の1近くまで激減している。

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