ミスター甲府が実感したJリーグの発展「昔のバス移動はつらかった」 (4ページ目)

  • 白鳥純一●取材・文 text by Shiratori Junichi

――2019年のJ2を見ると、水戸ホーリーホックに対して新たにJ1ライセンスが交付され、町田ゼルビアにも取得に向けた動きが見られます。石原さんが甲府に加入した2001年に比べて、現在のJリーグ、とくにJ2はどのように変わったと感じますか?

 個々のチームの動きについての言及は難しい部分もありますが、Jリーグ全体を見ると、僕が加入した2001年頃と比べて、プレー面、クラブ経営とも格段に進歩したように感じます。近年のJ2は毎年混戦で、高いレベルでの競争が繰り広げられています。指揮官の質も高まっていて、今シーズンから甲府を指揮している伊藤彰監督も、選手同士の競争意識を高めて、モチベーションを上げるのが本当にうまい。チームの粘り強い戦いにもつながっています。

 クラブ運営の面では、J2だけでなくJ3を含めて安定した経営基盤を持ち、J1を目指すクラブが増えました。最近は、以前のようなスタジアム整備や財政面が原因でプロ化を断念するといった事例も少なくなったように見受けられます。

 クラブごとに事情は異なると思いますが、Jリーグの理念でもある地域密着に力を入れ、イベントなどによってクラブと地域の交流機会が格段に増えました。これが結果として、スポンサー企業の誘致や、安定したクラブ経営につながっているように感じます。

――さらに発展を遂げるためにやるべきことは?

 現在ヴァンフォーレ甲府が戦っているJ2は、J1のような大物選手が少ないですが、満員のスタジアムで試合ができるようにしなければならないと感じています。選手のモチベーションにも直接関わりますからね。各チームの具体的な目標は「J1昇格」や「勝利」になるでしょうが、ファンの心に響く気持ちのこもったプレー、質の高いサッカーを続けていくことが、さらなるJリーグの発展につながると信じています。

(写真提供:ヴァンフォーレ甲府)

■石原克哉(いしはら・かつや)
1978年生まれ。山梨県出身。韮崎高校から順天堂大学に進学し、クラブのセレクションを経て2001年にヴァンフォーレ甲府に加入。甲府に在籍した17年間でJリーグ通算467試合に出場、30得点を記録。2017年シーズンをもって引退したのち、クラブのアンバサダーに就任したほか、指導者やスカウトの活動も行なっている。

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