内田篤人の薫陶を受ける安西幸輝。「いつか背番号2をつけたい」 (4ページ目)

  • 寺野典子●文 text by Terano Noriko
  • 渡部 伸●写真 photo by watanabe shin

――負けたけど、内容は悪くなかったという気持ちにはならない。

「そうですね。同時に勝っても、満足できないような顔をしている先輩も多いんです。(昌子)源くんや大伍さんがそうだった。勝っても課題を探し、反省している。そういう姿を見てきたからこそ、すごくいいクラブに来たと実感できた」

――勝利にこだわり続けるからこそ、貪欲になれる。それを今度は若手がやらなくちゃならない。

「そうですね。その責任を強く感じています。練習の空気が悪いなら、いち早く気付いて、変えていかなくちゃいけない。そこは代表選手の役割だと思います。誰もが入りたいと考えている代表チームを経験した人間が、そこの空気やそこで学んだことをクラブに還元させなくちゃいけないと思っています」

――西選手や昌子選手が移籍して、小笠原満男さんが引退し、世代交代の時期だから、勝てなくてもしょうがない、と言われたくは......

「ないですね。それは嫌です。それは意味がない。鹿島は勝たないといけないチーム。優勝しなくちゃいけない。連戦でもあっても言い訳なしで勝っていけるようにしたい。勝たせたいです」

――今季は、西選手の背番号22を受け継ぎました。

「プレッシャーはないですけど、喜びはあります。いつか篤人くんの番号をつけられたら」

――その内田選手とはよく話をしますか?

「はい。昨年はまだ遠慮というか、緊張感もあったので、なかなか話せなかったんですけど」

――リハビリしている大先輩の心情を考えれば、気安く話しかけられないですよね。

「でも、今年はもうそういう変な遠慮はなくなりました。今年はまったく違いますよ。聞きたいことは聞きます。篤人くんの経験を聞いたうえで、プレーすると上が見えてくるというか、僕にとっての教科書みたいな存在です。とにかく、海外での話を聞くとすべてが学びになります。篤人くんはピッチの空気を変えられる選手。僕はまだ、あらゆることすべてが足りないし、全部やらなくちゃいけないと感じます」

――鹿島移籍1年3カ月での代表デビュー。もちろんアジア王者にもなりましたし、今季はリーグ戦9試合で2得点。アシスト数も増えて、とんとん拍子という印象もありますが。

「去年の経験によって、生まれた自信みたいなものが、アシストやゴールにつながっているんだとは思います。確かに今のところは順調ですけど、同時に怖さもあります。でも、突き抜けるなら、突き抜けられるだけ突き抜けたい。きっとまた悩む時期は絶対に来ると思うので、その時はできるだけ高い位置で悩みたいと思います」

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