イニエスタの苛立ちにチラつく神戸の迷い。7連敗で降格圏内が近づく (2ページ目)

  • 渡辺達也●文 text by Watanabe Tatsuya
  • photo by KYODO

 この試合の神戸は、前線にビジャという世界的なストライカーがいるものの、鹿島の前線からのプレッシャーにより、彼の近くまでボールを運べなかった。縦パスを入れたくても、レオ・シルバ、三竿にケアされ攻撃の形さえできなかった。後半、イニエスタを投入したが、完全に抑え込まれ、スタジアムが湧くようなパスは皆無。イニエスタはレオ・シルバの激しいタックルで鼻血を流し、珍しく憤然とするなど、冷静さも失っているように見えた。

 このチームは今季、フアン・マヌエル・リージョ前監督のもと、キャンプから"バルサ化"を目指してボールをつなぐところからスタートしている。それが吉田孝行監督に代わり、メンバーを入れ替えながら試行錯誤している状態だ。確かにケガ人は多いが、ウェリントン(この日はベンチ入りせず)を使って彼の高さを生かそうとしているのか、メンバーを代えてもつなぐサッカーを続けるのか、目指すところがまったく見えてこないのだ。

 監督が代わってチームを立て直すには、一定の時間が必要だろう。しかし、試合は時間を待ってくれない。結果が出なければ、チームは悪い方向にしか進まない。次節はアウェーでの横浜F・マリノス戦。まだまだ厳しい試合が続きそうだ。
 

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