川崎の自力突破消滅。Jリーグ王者はなぜACLで勝てないのか (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 藤田真郷●写真 photo by Fujita Masato

 それは言い換えれば、立ち位置が追う側から追われる側に変わったことを意味した。上海上港は、相変わらず5バックで守備を固めながらも、反撃に出た。中国人選手で守り、4人の外国人選手で攻めるという図がますます鮮明になっていった。

 4人対2人という外国人選手の数の違いが自ずと鮮明になった。チョン・ソンリョンはGKなので、フィールドプレーヤーに限れば、その差はさらに広がる。川崎は細かいつなぎで相手を上回ったが、上海上港と比較するとひ弱に映った。

 72分に浴びた同点ゴールも、パワーに屈した感がある。大島のパスミスからだった。オスカルが左に展開。リターンパスを受けると、ファーサイドに大きなボールを蹴り込んだ。落下点に入ったのはフッキとエウケソン。川崎のディフェンダーはそこにいなかった。ヘディングしたのはフッキで、ゴールの枠内に叩き付ける豪快な一撃だった。

 川崎の鬼木達監督はそこから3枚の交代カードを切った。長谷川竜也、馬渡和彰、守田英正に代え、脇坂泰斗、鈴木雄斗、山村和也を投入。3点目を奪わなければ、突破が他のチームに委ねられる、まさに窮地に立たされたチームにしては、ワクワク感の低い地味すぎる交代だった。

 山村は高さがあるうえ、調子がよかった。脇坂も、推進力はないけれど、相手の嫌なところでボールを受けることができる選手。そして鈴木は右サイドをもう少し活性化させるため――とは、鬼木監督の弁だ。

 しかし、そもそも論になるが、なぜそこに外国人選手という選択肢はないのだろうか。ACLの外国人枠はJリーグより1人少ない4人。にもかかわらず、先述のように、川崎のスタメンには2人(フィールドプレーヤー1人)しか名を連ねていなかった。レアンドロ・ダミアンにしても、知念の体調がよければ、サブに回っていたと思われる。

 右サイドを活性化させるために鈴木を投入した件も、サブにはマギーニョの名前があった。なぜマギーニョではなく鈴木なのか。マギーニョはほとんど使われていないので、当然といえば当然だが、清水エスパルスに移籍したエウシーニョの後釜として獲得したはずの選手が、選択肢の2番目にも来ないのはどうしたものか。

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