川崎パスサッカーの主役、家長昭博。その「スゴさ」は両刃の剣だ (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki 佐野美樹●写真 photo by Sano Miki

 川崎は結局、追加点を奪えず、2-0のまま試合を終えた。試合後の監督会見で、鬼木達監督は「もう1点取らなければならなかった試合」と反省を述べた。その一方で、会見場の記者から挙がった「家長は代表に入ってもおかしくない選手ではないか」との問いかけには、素直に同意していた。

 昨季の年間最優秀選手なので、代表に選ばれてもおかしくない実力者であるのは間違いない。ただし、現在32歳。この賞には、佐藤寿人(2012年)中村俊輔(2013年)、遠藤保仁(2014年)、青山敏弘(2015年)、中村憲剛(2016年)、小林悠(2017年)と、代々ベテランが選ばれる傾向があるが、家長とこれらの面々との間には決定的な違いがある。

 それは日本代表戦への出場回数が、家長には3試合しかないことだ。しかも先発はゼロ。交代出場のみだ。この事実について疑いたくなるほどだが、それだけに年間最優秀選手賞が際だって見える。代表チームにいまからでも選ばれてほしい気持ちにもなる。

 先のボリビア戦で、31歳にして2度目の代表戦出場を果たした西大伍(ヴィッセル神戸)の例もある。さらに言えば、東京五輪を戦うU-23のオーバーエイジ枠にも最適な人材に見える。西と右サイドでコンビを組めば、若いチームに不足しがちな老獪さが加わること請け合いだ。

 大器晩成型なのか、歴代の代表監督の見落としなのか、いずれにせよ、日本のサッカー界が選び忘れてしまった存在であることは確かだ。

 ポジションは4-4-2なら右のサイドハーフ、4-2-3-1なら3の右になるが、左でもいける。そして、試合中にポジションを変えることもよくある。

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