大宮アルディージャが昨季とは違う。J1昇格候補が悪いなりに5連勝 (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki

 大山が「自分たちの戦いや、やりたいことができないなかでも勝ち切ったのは大きい」と語ったように、この町田戦を含め、5連勝中のスコアを見ても、大宮は決して楽に勝ち続けているわけではない。2-0で勝利した第8節の鹿児島ユナイテッドFC戦を除けば、あとはすべて1点差の辛勝である。

 しかし、こうした内容の試合で、勝ち点0を1に、あるいは1を3にできるかどうかが、最終的にJ1昇格の可否を分けるのだろう。その意味で言えば、まだ長いシーズンの4分の1程度しか終わっていないとはいえ、大宮は上昇気流に乗り始めたと言える。大山が続ける。

「勝ち続けることで、精神的にも自信になる。(押されている状況でも)どこかでチャンスが来ると思って、耐えられる」

 振り返ると、昨季の大宮は、スタートダッシュの失敗がすべてだった。

 第8節までの間に2連敗を2度も喫するなど、1年でのJ1復帰を目指す戦いは、開幕早々にして暗礁に乗り上げた。結局、最終順位は、J1参入プレーオフ圏内を死守するのが精一杯の5位。第9節以降は、34試合で8敗しかしていないのだから、いかに最初のつまずきが痛かったかがわかる。

 高木琢也監督を迎え、新体制で臨んだ今季もまた、第5節終了時点では1勝2敗2分けの勝ち点5で16位に低迷し、昨季と同じ轍を踏むかに思われた。だが、その後の立て直しは早く、前述のとおりの5連勝である。

 第10節終了時の成績を比較すると、3勝5敗2分けの勝ち点11の昨季に対し、今季は6勝2敗2分けで勝ち点20。加えて、笠原が「(今季は)5試合がクリーンシート。そこが去年とは違うところ」と話すように、第10節までに、無失点試合がひとつしかなかった昨季に比べ、今季の大宮は失点を抑えることで、落ち着いて試合を進めることができている。

 高木監督も、「次に5連敗することもあるのだから、気を引き締めてやらなければいけない」と付け加えながらも、チームの変化を次のように語る。

「(5連勝した試合の)すべてが自分たちのリズムでできているわけではないが、粘れるようになってきた。ある程度耐えていれば、チャンスが来て、それを決め切れるという自信が出てきている」

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