ポスト大迫の北川航也。「煮え切らないストライカー」から脱却せよ! (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki 藤田真郷●写真 photo by Fujita Masato

 その鼻先にパスが出ると、北川はGKカミンスキーと1対1になった。そして狙いをその股の下に定めるや、冷静に流し込んだ。それは北川らしい滑らかな動きでもあった。出会いがしらではない、もう一度同じプレーをしてもゴールが決まりそうな、完成度の高いプレーに見えた。

 清水は磐田の新外国人選手ロドリゲスに1点を返されたものの、そのまま逃げ切り、待望の今季初勝利を挙げた。マン・オブ・ザ・マッチは北川か鄭大世か、微妙なところだ。22歳の北川もよかったが、35歳の鄭も負けず劣らずの出来だった。

 両者はライバル関係にある。というのも、清水には終盤、北川に代わって投入されたドウグラスというもうひとりのFWがおり、2トップをまずドウグラスありきで回そうとしているからだ。

 昨季の後半、トルコのアランヤスポルからやってきたこのブラジル人選手は、加入するや13試合で10ゴールをマーク。チームを8位に押し上げる原動力として活躍した。だが、この頼れる外国人選手に、今季開幕前に不整脈が発覚。ここにきてようやく回復してきたところだ。ドウグラスがベストコンディションに戻ったとき、はじかれるのは北川か鄭大世か。北川の代表復帰はこのチーム内の争いに勝利することが前提になる。

 代表チームは、カタールW杯が開かれる2022年11月には32歳になっている大迫勇也の後釜を欲している。コロンビア戦、ボリビア戦では、25歳の鈴木武蔵と22歳の鎌田大地が試された。北川のライバルと言っていいだろう。似ているのは鎌田だ。年齢のみならず、体格及びDFラインの裏を狙うプレースタイルに共通点がある。

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