ポスト大迫の北川航也。「煮え切らない
ストライカー」から脱却せよ!

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki 藤田真郷●写真 photo by Fujita Masato

 清水がFC東京と対戦した第6節の試合では、ヘナト・アウグストが右サイドからふわりと揚げたロブ気味のクロスに鋭く反応。高い打点から身体を捻り、ゴール左隅へ先制ゴールを叩き出した。

 悪い意味で柳沢的だったのが、同じくFC東京戦で、GKと1対1になりながらシュートをサイドネットに外してしまった後半27分のシーンになる。周囲の期待感を裏切る中途半端な外し方が、時に柳沢が見せた煮え切らないプレーにそっくりなのである。"いっぱいいっぱい"ではないゆとりをどこかに感じさせながら、外してしまう。岡崎慎司(レスター)のようなひたむきさ、泥臭さはない。

 結局この試合、清水はFC東京に逆転負けし、今季初勝利を逃した。かえすがえすも北川の煮え切らないシュートが悔やまれるのだった。

 チームに片目が開いたのは第7節。静岡ダービーのジュビロ磐田戦だった。先制点を挙げる展開は前節と同様だった。前半36分の鄭大世の先制ヘッドを、北川はアシストで貢献。ゴール前で粘りのプレーを見せた。

 金子翔太のクロスに反応し、磐田GKカミンスキーを泳がす枠内シュートをダイビングヘッドで放ったり、ゴール前の混戦からトリッキーなシュートを放ったり、さらには深い切り返しからミドルシュートを放ったり、この日の北川はいつになく乗っていた。

 だがスコアは、後半13分まで0-1で推移していた。逆転負けを食らった前節のFC東京戦と同じ展開で、片目の開かない清水にとって重苦しいムードになりかけていた。北川に待望のゴールが生まれたのは、まさにそのタイミングだった。相手の横パスを中村慶太がカットするや、北川はDFの背後に、例によって素早い動きで飛び出した。

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