「エレベータークラブ」ながら、
湘南ベルマーレが一目置かれるわけ

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by Nikkan sports/AFLO

 小野田自身、移籍早々にして出場機会が巡ってきたことについて、「ケガをしている選手が多く、チーム状況も(理由として)ある」と謙虚に認めたうえで、湘南というチームについて、こう語る。

「湘南のいいところは、チーム内に温度差がなく、誰が出ても同じようなサッカーができること。どういうメンバーになるのか、試合直前までわからないが、自分が出た場合には、チームが勝てるようにやりたい」

 湘南は、潤沢な資金を元手に、思うがままの選手補強ができるクラブではない。

 しかし、だからこそ、限られた戦力を最大限に活用し、チーム力に変換しなければ戦えない。何より、これだけ次々に主力選手を失いながら、現在の位置――J1で戦い、J2に降格しても1年で戻ってくる――に留まり続けるためには、それができなければならなかったのだ。

 今季開幕以降、ルヴァンカップも含めると、J1第6節終了時点で8試合を戦い終えたが、曺監督は「いろんな選手を使って、この期間で選手層の厚さも十分作れた」と、手ごたえを口にする。試合という他チームとの競争はもちろんのこと、チーム内にも競争をもたらし、それがどんな結果になろうと、誰ひとり腐らせず、おごらせず。見事なチームマネジメントには感服するしかない。

 直近のJ1第6節、磐田に0-2で敗れた試合のあとも、曺監督はこんなことを話している。

「今年は(3勝3敗と)引き分けがなく、勝敗が必ずついているので、いいことは継続して、課題は修正するという面で、いい時間を過ごせていると思う。(ルヴァンカップを含め、3連勝でストップし)久しぶりに負けたこの悔しい思いを、次に生かしたい」

 リーグ戦は6試合を終えて3勝3敗。ルヴァンカップを含めても4勝4敗。同じ数で色分けされた五分の星は、湘南が成長の歩みを止めていない証である。

3 / 3

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る