鹿島の安西幸輝がポスト長友になる。
タフさと小柄は日本の武器だ

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki photo by Masashi Hara/Getty Images

 先のコロンビア戦、ボリビア戦には左SBとして出場したが、安西は右SBでもプレー可能で、さらに左右の両サイドハーフもこなすことができる。

 これが鹿島で、絶対的なレギュラーでもないのに、1年目から28試合に出場することができた理由に他ならない。出場時間2201分は、クォン・スンテ、鈴木優磨、三竿健斗に次ぐチームで上から4番目の数字になる。

 SBで右も左も可能な選手はそう多くいない。ロシアW杯で代表引退を表明した酒井高徳(ハンブルガー)こそ左右両SBをこなし、ポーランド戦では4-2-3-1の3の右として出場したが、安西の方がサイドアタッカーとしての威力は上だ。

 特にその走力はJの舞台では断トツで、何と言ってもタフである。エンジンにたとえるなら、排気量が違うという感じだ。忍者のごとく足を地面に擦(す)るように走る長友に対し、安西は太ももをよく引き上げ、元気いっぱい弾むように走る。お互いアスリート系ながら、タイプは若干異なる。

 安西が長友に劣る点は、ウイングとのコンビネーションだ。先発したボリビア戦で乾と縦の関係を築いたが、ロシアW杯における長友・乾の関係にはほど遠かった。

 サイドアタッカーのタイプは大きく分けて2つ。将棋の香車型と言うべき直線型と、周囲とコンビネーションを図りながら、ジワジワと前進していく連携型になる。長友が年齢を重ねるごとに前者から後者のタイプに変化していったのに対し、安西は直線的だ。現在23歳。32歳の長友と比較して考察するのはナンセンスとはいえ、コンビネーションプレーの追求も、レベルアップには欠かせないテーマになる。

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