光る久保建英。バルサ復帰ではなくFC東京残留ならJ1制覇も現実味

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

 正真正銘のラストプレーだった。あと1秒、耐えることができていれば、勝利はFC東京のものだった。

 しかし、これが鬼門というものだろうか。右サイドからクロスを入れられると、エリア内に侵入してきた森脇良太に豪快に合わせられ、土壇場で同点に追いつかれてしまう。FC東京は浦和レッズの本拠地・埼玉スタジアムで、またしても勝利を手にすることができなかった。

17歳の久保建英が攻撃面のカギを握っているのは間違いない17歳の久保建英が攻撃面のカギを握っているのは間違いない この地での直近の勝利は、2003年までさかのぼる。もはや相性のひと言では済まされない結末だった。もっとも、試合後のFC東京の選手たちは、悲嘆に暮れていたわけではない。むしろ、やるべきことはやったという充実感に満ちていた。

 前節に名古屋グランパスとの上位決戦を制し、首位に躍り出たFC東京は、代表ウイークを挟んで行なわれた2週間ぶりの一戦で、その勢いを保つことができるのか。この鬼門を突破すれば、今季J1の主役となるかもしれない。そんな予感を胸に、この試合の取材に赴いた。

 しかし、立ち上がりからFC東京は浦和にボールを支配され、守勢を強いられてしまう。3バックから4−4−2へシステムを変えてきた浦和に対し、面食らった部分もあっただろう。プレスがうまくハマらず、中盤にボールを運ばれると、サイドを起点とする浦和の攻撃に対して後手を踏んだ。

 とはいえ、FC東京側に動揺はなかった。強固な守備ブロックを保ち、中央への侵入は許さない。「相手にはボールを持たれていたけど、持たせるくらいの感覚で、そこは割り切ってやっていた」と永井謙佑が言うように、ボール支配は譲っても、最後の場面はやらせない。

 この日だけではなく、今季のFC東京は開幕から堅守速攻を徹底し、スタートダッシュに成功している。つまりこれが、今季のFC東京のやり方である。

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