トーレス不在で3戦負けなし。鳥栖の「スペイン色」が抱えるジレンマ (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki 山添敏央●写真 photo by Yamazoe Toshio

 一方の鳥栖は、"守備練習"をしているに近かった。パス本数は半分以下だが、走行距離、スプリント数だけは上回っている。豊田、高橋義希、福田晃斗ら"古参組"の献身がチームを支えていたのだ。

「磐田戦も10人で勝つことができて、いい流れになっていたと思います。自分は今日の結果もポジティブに考えていますよ」

 この夜、前線で身体を張った豊田は、その心境を口にしている。

「僕が出たら出たで、フェル(トーレス)やイサック(クエンカ)もそれぞれ、FWが自分の持ち味を出せばいいと思っています。今日のように(金崎)夢生と組むなら、自分は走ってボールを追い、潰れて、高さを活かし、夢生に得点を期待するというか。正直に言って、今はまず守備。攻撃の形まではいっていませんけど、試合の中で必ずゴールチャンスはあると思うので」

 次節のベガルタ仙台戦は、トーレスが復帰する公算が高い。チームメイトも、「フェルはさすがケガにも慣れているのか。知識もあるみたい。自分のペースでリハビリもやって、すごい回復力を見せている」と洩らす。今後はクエンカのコンディションも上がってくるだろう。

 スペイン人監督は、"スペイン色"を鳥栖にどう落とし込むのか。

「ここにいない選手については、一切、話をしたくない」

 試合後の記者会見で、トーレスについて聞かれたカレーラス監督は、険しい表情で答えている。
 

3 / 3

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る