王者・川崎を撃破。ガンバ大阪に、王座奪還への道は見えているのか (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 昨季のガンバは、苦しい前半戦を送っていた。

 若手の育成に定評のあるレヴィー・クルピ監督を新たに迎え、王座奪還はもちろん、それに必要な強固な土台作りを進めるはずが、スタートで大きくつまずき、下位に低迷。ワールドカップ開催にともなう中断期間前の第15節終了時点では、J2降格がちらつく16位に沈んでいた。

 その後、急遽指揮権を託された宮本監督は、就任直後こそ、思うような結果を得られなかったものの、理想と現実の折り合いをつけながらチームを上昇気流に乗せ、第25節からは怒涛の9連勝。最終節では敗れ、10連勝フィニッシュとはならなかったが、瀕死の状態にあったチームを、最終的にはひと桁順位の9位まで引き上げた。

 そして迎えた今季。いわば再スタートを切るべく、シーズンはじめから宮本監督が指揮を執るガンバは、より理想の比重を高めながら、チーム作りを進めている。敵地で貴重な勝ち点3を手にした川崎戦で、それはうかがえた。

 J1最強と言っていい攻撃力を持つ川崎は、ボールを保持して相手を押し込み、敵陣でゲームを進めることを強みとする。そうすることで、もしもボールを失っても、すぐに攻撃から守備に切り替え、高い位置で奪い返すことができる。昨季の川崎が、総得点でリーグ最多だっただけでなく、総失点でもリーグ最少だったことの最大の要因はそこにある。

 それだけに川崎と対戦するチームは、粘り強く守ることも大事だが、奪ったボールをいかに攻撃につなげ、川崎を押し返すかが重要になる。ただクリアで逃げるだけでは、再び川崎にボールを拾われ、連続攻撃を受け続けるはめになり、いずれどこかで耐え切れなくなるからだ。

 その点、ガンバは果敢だった。

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