フロンターレ4戦未勝利はナゼなのか。家長昭博は断言「迷いがある」 (3ページ目)

  • 原田大輔●取材・文 text by Harada Daisuke
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 家長も、こう敗因を口にする。

「(得点以前に)僕ら(中盤)がペナルティエリアまでボールを運んでいかなければいけないし、それがチームのスタンダードとしてなければいけない。今日はそこまで持っていくことができなかった」

 前半こそ得意のドリブルで果敢な突破を見せた長谷川も、「不完全燃焼だった」と話し、こう悔やんだ。

「相手が来てから動くとなると、全部が遅いので、先にポジション的な優位性を作っておかなければならない。それは中と外との関係性というよりは、サイドだけでも解決できる部分は多いと思う」

 ボールの動かし方だけでなく、得点パターンも含めて、川崎がおそらく本来の姿を取り戻すのは、それほど難しいことではないだろう。阿部浩之、大島僚太、小林悠、さらにはG大阪戦で出場機会がなかった守田英正が戦列に戻り、昨シーズンを戦った面子を揃えれば、ある程度、形は作れるはずだ。

 しかし、それではチームに進化もなければ、成長もない。家長が指摘するように、今シーズンの得点の形を確立する必要もあれば、とくにG大阪戦の前半は左サイドからの攻撃に偏ったように、左右の攻撃バランスを解決することも急務であろう。

 ただ、鬼木監督はそれを察しつつ、あえて茨(いばら)の道を歩もうとしているのだろう。長身FWであるレアンドロ・ダミアンを活かす道を探っているのも、新戦力の山村和也と若手の田中碧をボランチで組ませたのも、いわゆる主力のコンディションという問題もあるが、すべては先を見据えているからだ。

 思い起こせば、J1で初優勝した2017年も、連覇した2018年も、シーズン序盤はコンビネーションを築くのに、得点パターンを確立するのに苦しんだ。今シーズンも川崎は、この生みの苦しみを、さらに大きくジャンプするための助走とすることができるか――。その真価が今、問われている。

 家長は言った。

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