久保建英にしかない能力を引き出せていない、FC東京がもったいない (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

 ところが、FC東京に復帰した久保は、2019年シーズンがスタートすると、J1開幕戦から3戦連続で先発出場。2-0で勝利した第3節サガン鳥栖戦では、勝負を決定づける追加点をアシストするなど、誰の目にもわかりやすい結果を残していることもあり、久保の周囲では再び、"熱"が高まっている。

 FC東京の長谷川健太監督が鳥栖戦後に残したコメントも、すでに久保がチームに不可欠な存在であることを裏づける。

「引かれた相手に有効打がなかったが、(鳥栖に退場者が出たあと)建英がトップ下に入り、相手の嫌がるところでボールを受けたことで(攻撃に)変化が出た。前半は相手も警戒していたので、自由を与えてもらえなかったが、後半は相手の足が落ち、(久保が右MFから)トップ下に入ったことで本来のプレーができた。すばらしいアシストだった。次はゴールという結果を期待したい」

 現在のFC東京にあって、久保は代えの利かない選手だと言ってもいい。

 永井謙佑、ディエゴ・オリヴェイラという2トップのスピードを生かし、手数をかけずに直線的に相手ゴールへ向かう速攻が武器のFC東京だが、それは反面、単調になりがちであることも意味している。

 そんななか、ボールを一度収めてキープできる技術があり、ドリブルでボールを運ぶこともできる久保は、いわゆる、タメを作れる選手。攻撃のリズムを変える、貴重なアクセントになっているのだ。その役割をこなせる選手は、17歳のレフティの他に見当たらない。

 だからこそ、久保の存在が一層際立ち、再び注目を集めることにもつながっているのだろう。なるほど、ドリブルしながらも周囲の選手の動きを見極め、完璧なラストパスを送った追加点のアシストはもちろん、狭いエリアでも細かいボールタッチでシュートコースを作り出し、鋭く左足を振り抜いたシーンなどを振り返っても、彼が違いを生み出せる選手であることは間違いない。

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