美学を貫くミシャのコンサドーレ改革。ブレない2年目に大きな可能性 (2ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

 それでも継続こそが、力となる。指揮官が求めるスタイルをやり続けた結果、最後までACL出場権を争うチームにまで成長を遂げたのだ。わずか1年でチームを変えたペトロヴィッチ監督の手腕は当然称えられるべきものであり、それに答えた選手たちもまた称賛に価すると言えるだろう。

 2年目となる今季は、さらなる躍進が期待される一方で、他チームからの警戒が強まることが予想され、それを上回る対応力が求められることになる。札幌にとって真価を問われる1年は、いきなりその不安が的中する形で幕を開けた。

 湘南ベルマーレの本拠地に乗り込んだ開幕戦。札幌はボール支配率で大きく勝りながらも、終盤に隙を見せて0−2と完敗を喫している。

「湘南戦はハイプレスを受けて、ビビってしまった部分がありました」

 そう振り返ったのは、3バックの一角を務める福森晃斗だった。最終ラインからボールを回し、隙をうかがいながら相手ゴールに迫っていく。札幌の狙いは、湘南のハイプレスの前に機能性を失った。いかにボールを落ち着いて回すことができるか――。開幕戦では、そのテーマを表現することができなかったのだ。

 しかし、浦和戦では相手のプレッシャーに動じず、冷静にボールを回す札幌の姿があった。早い時間帯に先制できたこともあっただろうが、相手の寄せにも動じることなくパスをつなぎ、程よい距離感を保ちながら、ボールを前へと進めていく。

 カギを握ったのは、チャナティップだ。この日はトップ下に入った小さなアタッカーは、中盤の低い位置にまで下りてきて、最終ラインと前線の中継役を担った。

 パスだけではなく、ドリブルでも持ち上がる臨機応変さで攻撃を操ったチャナティップは、27分には自らのパスカットから鋭いスルーパスを供給し、鈴木の2点目をお膳立て。昨季のベストイレブンに輝いた"タイのメッシ"は、3年目を迎えるJリーグでさらに自信を深めているようだった。

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