貪欲だけどエゴはなし。初ゴールで見せたビジャ流ストライカーの神髄 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki photo by Masashi Hara/Getty Images

 Jリーグ開幕戦のセレッソ大阪戦で不発に終わったことで、ビジャの起用法で早くも議論が巻き起こっている。

「どうしてビジャを左サイドで起用するのか。点取り屋ではないのか?」
 
 期待度が高い選手だけに、デビュー戦で不発なだけで、批判的になる風潮がある。

 しかしそもそも、ビジャはバルセロナ時代、左サイドを主戦場にしてきた。さらに言えば、サイドはあくまでスタートポジションに過ぎない。サイドで崩し、中央でも連係し、決定的な仕事ができる。そこに世界的ストライカーの奥深さはあるのだ。

「Caer bien」(サイドに流れるのがうまい)

 神戸の指揮官であるフアン・マヌエル(ファンマ)・リージョは、ビジャの最大の魅力をゴールとしながらも、流動性を重視している。どのポジションにも適応し、リズムをとって、コンビネーションを作ることができる。それ故に相手はプレーが読めず、後手に回るわけだが、トップレベルのFWでも適性のある選手は少ない。たとえば、この日、対戦した鳥栖のフェルナンド・トーレスは偉大なゴールゲッターだが、ビジャのような仕事はできない。

 ビジャの真骨頂と言える流動的プレーが、この日はセレッソ戦よりも出ていた。

「ダビド(ビジャ)の1トップ? いや、彼は(古橋)亨梧と積極的に前線でポジション交換していたよ」

 リージョ監督は記者たちの質問に、そう説明している。

「サイドで幅を取ったり、後半はルーカス(ポドルスキ)と代わって右サイドが多かった。左に流れたとき、彼のプレーヤーとしてのキャラクターは強く出るね。そこから切り込んで右足で巻くシュートは強烈だ。

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