鹿島の魂を受け継ぐ内田篤人。新主将は10歳下の若手をべた褒め (3ページ目)

  • 井川洋一●文 text by Igawa Yoichi
  • 藤田真郷●写真 photo by Fujita Masato

 コンディションが完全に整わなくても出場したのことについては、「監督からは『ベンチにいてほしい』と言われているし、自分も一緒にいたい。今日はサボりたいから、しゃべって周りを動かしていただけだよ」とうそぶく。そんな新キャプテンは、若手の成長に目を細める。

 21歳のCB町田について、「こういう痺れるゲームを経験していけば、いやでも成長するからね。こっちも期待している。190cmの左利きのCBなんていないよ。オレもそんな選手の成長を近くで見たい」と言い、続けて20歳のMF安部のことは「言動から頭のよさがわかるし、練習中の強度もすごい。走れるし、戦えるし、技術もある」と評した。

 昨年11月から負傷で戦列を離れていた三竿健斗も、後半アディショナルタイムに久しぶりに実戦の機会を得た。交代の際、見るからにウズウズしていた22歳のセントラルMFは、「モチベーションやチームを勝たせたい気持ちは、誰よりも強いと思う。今のチームを見ているとギラギラ感がなくて、やってやろうという気持ちが伝わってこないときがあるので、それを自分が出していければ」と誠実な表情で語った。

 やはり、アントラーズのスピリットは死んでいなかった。伝統のカルチャーは次の世代にしかと受け継がれているし、革新性はなくても男気を感じさせるクラシックなスタイルはサッカーの本質的な魅力を醸す。まだまだフレッシュな金髪の新主将と、微妙な判定にも一切愚痴をこぼさなかった大岩剛監督の率いる鹿島が、仕切り直しの一戦を前向きに終えた。

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