Jリーグが導入する「ホームグロウン制度」は日本の育成を改革できるか (3ページ目)

  • 中山淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi photo by Getty Images

 近年の日本の育成強化は、2015年からJFA(日本サッカー協会)とJリーグが連携しながら選手育成に投資を行うJJP(JFA・Jリーグ協働事業)が主導してきた。そのなかで、イングランドも育成改革時に取り入れたベルギーのダブルパス社による「フットパス」を導入。育成に関するあらゆる項目を数値化することで、各クラブのアカデミーの査定および格付けを行ない、目に見える形の育成強化にも着手していた。

 ところがJJPの活動が昨年で終了したことを機に(一部は継続)、今度はJリーグの予算から育成強化費を捻出し、Jリーグ主導による新プロジェクト推進に舵を切ることになったという。

「選手や指導者の資質を紡いで、ワールドクラスの選手を輩出する」ことを最大の目標にスタートした「プロジェクトDNA」は、育成ビジョンやその戦略を決定するアカデミー・リーダーシップ・チームの下、それを実行するアカデミー・ワーキング・グループが、J1からJ3の各クラブとコミュニケーションをとりながら改革を進めることになる。トップダウンで進めるのではなく、各クラブを啓蒙し、サポートするイメージだ。

 そしてそのアカデミー・リーダーシップ・チームのキーマンとしてイングランドから招聘されたのが、テリー・ウェストリー(テクニカル・ダイレクター・コンサルタント)とアダム・レイムズ(フットボール企画戦略ダイレクター)の2人のエキスパートだ。

 とくにテリー・ウェストリーは、イングランドのEPPPの設計と施行に大きく関わった育成の第一人者で、2014年からはウェストハムのアカデミー・ダイレクターを長く務めてきた実績の持ち主。「プロジェクトDNA」の名が、2014年からイングランドで施行された「イングランドDNA」と似ていることも含め、今後は彼が持つノウハウを中心に、日本の育成改革が行なわれることになるはずだ。

 ただし、今回のプロジェクトでは、イングランドのコピーではなく日本オリジナルであることが強調されており、2月13日のブリーフィングではテリー・ウェストリー本人も次のように話している。

「このプロジェクトはイングランド流ではなく、Jリーグと各クラブの共同作業で進めていきたい。(私がこの仕事を引き受けたのは)Jリーグがこの育成改革をもたらしたいとする2030年に向けたビジョン、発展したいという情熱を感じ、ぜひ携わりたいと思ったから。選手育成のプロセスに進展をもたらし、Jリーグから世界に多くのトップクラスを輩出するためには、世界トップクラスの指導者の育成も大事なので、そこにも焦点を当てて活動していきたい」

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