Jリーグが導入する「ホームグロウン制度」は日本の育成を改革できるか (2ページ目)

  • 中山淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi photo by Getty Images

「ホームグロウン制度」というワードを聞くと、多くのサッカーファンはイングランドのプレミアリーグのそれを想起するはずだ。

 彼らが2010-11シーズンから導入したその制度は、最低登録人数など細かいルールはJリーグとは異なるものの、リーグの競争力と華やかさを保ちながら「自国選手の活躍の場を確保する」という導入目的そのものは、ほとんど同じだ。

 その背景には、長きにわたってイングランド代表の成績が低迷するなか、世界中からトップレベルの外国人選手が集まるプレミアリーグで自国選手のプレー機会が減少していたことに、イングランドサッカー界が危機感を持ったことにあった。

 とはいえ、ホームグロウン選手の最低登録数を定めただけでは、自国選手が外国人選手からポジションを奪うことはできない。真の目的を達成するためには、質の高い若手選手を育て上げ、トップチームに安定的に供給するシステムを構築する必要がある。

 そんななか、育成で大きく後れをとっていたイングランドサッカー界がほぼ同時期の2011年から推し進めたのが、EPPP(Elite Player Performance Plan=エリート選手養成プラン)と呼ばれるプログラムによる育成改革だった(プレミアリーグのクラブがEPPPを導入したのは2012年から)。そしてこの育成改革が原動力となり、2017年にはイングランドがU-17W杯とU-20W杯の二冠を達成するに至ったことは記憶に新しい。

 いずれにしても、「ホームグロウン制度」の導入には、そのバックボーンとなる育成の強化が絶対的に必要で、制度の成否もそこがカギとなる。そこで今シーズンから「ホームグロウン制度」を導入したJリーグでも、同じようなアクションを起こしている。

「本格的に日本の育成を変えていきたい」

 2月13日、以前から育成強化に積極的な姿勢を見せていた原博実Jリーグ副理事長が力強くそう語って発足したのが、「プロジェクトDNA(Developing Natural Abilities)」だ。

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