リージョ神戸は難解なサッカー回路に挑む。「しょうがない」は禁句 (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki photo by Naoki Nishimura/AFLO SPORT

 リージョは勝者のメンタリティを語っている。

「プロの選手は『しょうがない』というのがないところまでできるか。たとえばディフェンスの選手なら、シュートに対して最後は顔面を差し出す、という気概が必要になる。ウルグアイ代表の(ディエゴ・)ゴディン、(ディエゴ・)ルガーノはみんなそうだ。そのボールのコースを変えることで、運命が変わる。『あ、シュートしたなぁ』と突っ立っていたら、運命を引き寄せられない。その覚悟、責任を持てるか」

 男っぽい戦いの流儀に、リージョの戦術の骨格はある。

 では、リージョ率いる神戸はクラブ史上初の優勝に近づけるのか?

「Jリーグは何が起こるかわからない」

 リージョは慎重な口調で言った。

「とにかく、どこが勝つかわからない。優勝したチームが残留争いをしたりする。昨シーズンのように、連勝で上位にいたサンフレッチェ広島やFC東京が連敗で順位を下げる、そこで重要なのは、自分たちが安定した戦い方をすること。そうするなかで、チャンスも見えてくる」

 2月22日、神戸はセレッソ大阪の本拠地に乗り込み、開幕戦に挑む。ミゲル・アンヘル・ロティーナ監督とは同じバスク人で旧知の仲。手の内を知り尽くす者同士、火花を散らす。

 試合を数日後に控え、リージョは、セレッソの直近のスターティングメンバーを諳(そら)んじていた。

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