2019.02.18

躍進の札幌、ペトロヴィッチ監督の指導法。褒めるミスと叱るミスがある

  • 井川洋一●取材・文 text by Igawa Yoichi photo by Getty Images

 昨シーズンの結果によって、選手たちは賞賛されているはず。色々な人に褒められて、選手たちが勘違いしていないか。自分ができると驕ってしまい、個人プレーに走ってしまえば、我々のチームとしての強さを発揮できなくなるだろう。地に足をつけて戦うこと。これを続けていくことができれば、昨季と同じような強さを発揮できると私は考えている」

 昨シーズンは、ミシャの代名詞でもあるショートパス主体のスタイルをやや抑えているようなところもあり、前線に長いボールを当てる場面も見られたが、今季もそこは変わりないのか。

「ポゼッションがうまくいかなかった頃は、現実的な選択も致し方なかった。ただ練度が高まって、ボールをうまく回せるようになった頃には、長いボールが減ったと思う。できなければ蹴る、つなげるならつなぐ。そういうスタンスだ」

 そんな風に新シーズンの展望を聞いたところで、一番聞きたかったことを切り出してみた。昨年11月、湘南ベルマーレとのアウェー戦後の記者会見で、監督がクロスの精度を嘆くような発言をしたので、「それは日本人選手全体の課題にも思えますが」と僕は質問した。すると「私もそう思う。日本人選手は技術が高いし、努力もしているが、重圧を感じた時にプレーが乱れる傾向にある」とミシャは言った。では、それはどう改善していくべきなのか。

「ミスをしたら嫌だなと考えながらプレーしてしまうと、逆にミスは起こりやすくなる。サッカーをやっている人ならわかると思うけど、そうした思いは恐怖心からきている。それはプレーをするうえで邪魔になるものであり、おそらくそれは、育成年代の時に監督からきつく怒られたり、強く怒鳴られたりしたことが原因になっているのだろう。

 ミスには種類がある。チャレンジした結果のミスと、アリバイ的な消極的なミス。前者は褒めるべきで、後者は叱るべきだ。そのあたりのさじ加減が大事だと私は思うが、日本人指導者は強く怒ってしまう傾向にあるようだ。怒鳴られたりすると、選手はナーバスになってしまい、重圧のかかる場面で本来の力を出せなくなってしまう。

 ひとつ象徴的な話をしよう。13年前に広島を率い始めたとき、20歳の青山敏弘(サンフレッチェ広島)が非常に狙いのいい縦パスを入れたが、それは通らなかった。そのとき私は『ブラボー!』と称えたのだが、彼自身はすごくびっくりしていた(笑)。自分が出したミスパスを怒られると思っていたんだね」