湘南の運命の分かれ道。秋元陽太の罵声に、梅崎司がキレた日 (2ページ目)

  • 原田大輔●取材・文 text by Harada Daisuke
  • photo by Getty Images

「シーズン序盤はケガをしていたこともあって、自分自身のコンディションもまだまだで、チームに貢献できていないという思いと自責の念が試合のたびに増していたんですよね。だから、仙台戦と清水戦の間にルヴァンカップの神戸戦があったんですけど、曺さんに直談判して試合に出してもらったんです。

 そこで90分近くプレーして、ゴールもできて、自分でも状態が一気に上がってきた感覚があったんですよね。そこから清水戦までは中2日で、コンディション的には苦しかったですけど、絶対に自分が流れを変えてやるんだという思いで途中出場したんです。

 それなのに、何もできずにチームも(2-4で)大敗してしまって......。自分自身への苛立ちがマックスだったんです。あまりにも自分が不甲斐なさすぎて......だから」

 試合を終えてロッカールームに戻ってきた梅崎は、思わず握っていた空の給水ボトルを叩きつけた。新戦力として、経験ある選手として、苦しいときこそチームに貢献しなければという思いが人一倍、強かった。それは、力になれなかった悔しさから出た"衝動"だった。

 ただ、これで事は終わらなかった。苛立ちを見せる梅崎に、秋元が噛みついたのである。

「全然やってないのに、キレてんじゃねえよ!」

 同じ1987年生まれだが、梅崎は早生まれである。学年でいえばひとつ年下になる秋元の罵声に、梅崎がキレないわけがなかった。スイッチが入った梅崎はケンカ腰になり、「はっ?」と言い返す。それでも秋元はひるまず、さらに言葉を浴びせた。

「攻撃だけやって、(ボールを)取られて、守備しないで、それでキレてんじゃねーよ! やることやってからキレろよ!」

 ヒートアップしたふたりは、他のチームメイトたちが見つめるなか、その後も激しく言い争った。梅崎がその瞬間を振り返る。

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