10年在籍のFC東京から名古屋へ。米本拓司の苦悩「最後のチャンス」 (5ページ目)

  • 飯尾篤史●取材・文 text by Iio Atsushi
  • 小早川 渉●撮影 photo by Kobayakawa Wataru

―― 退団時のリリースに書いてあった「東京のみなさんには『嫌な選手だ』と思ってもらえるように頑張ります」という言葉が素敵だと思いました。それは「もっともっと成長する」という宣言だと思うから。そうなった時、最高の恩返しというか。

米本 そうですね。でも、あの文章だけで感謝を述べるのは難しかったです。本当はファン・サポーターの方々とお別れがしたかったんですけど、本当にギリギリで。あの発表の翌日が東京の新体制発表の日で、それまでに決めなければいけなくて。

 だから、決まってすぐあのコメントを考えて、すぐに発表したんです。東京のチームメイトもネットニュースで知った人が多くて、「早く言えよ」って(苦笑)。それくらいバタバタしてました。

―― 「10年間の思いは語り切れません」とも書かれていました。もちろん、ここでも語り尽くせないんでしょうけど、一番伝えたい想いは?

米本 やっぱり、3回も大ケガをしたのに契約を更新してくれて、10年もプレーさせてくれたことは、本当に感謝しています。ファン・サポーターの方々も、そのたびに「がんばれよ」「待ってるぞ」と言ってくれてうれしかったし、恩返ししないといけないなっていう気持ちがあります。

―― だからこそ最後、挨拶の場がなかったことが悔やまれる。

米本 本当にそうですね。それに関しては、ファン・サポーターの方々には本当に申し訳ないと思っています。

―― じゃあ、東京戦のあと、ゴール裏に挨拶しに行きましょうか(笑)。

米本 さっそく3月に味スタであるんですよね。でも、まあ、結果次第ですかね(笑)。でも、東京には絶対に負けたくないですね。

(後編につづく)

【profile】
米本拓司(よねもと・たくじ)
1990年12月3日生まれ、兵庫県伊丹市出身。兄の影響で小学1年からサッカーを始める。伊丹高校時代にはU-17日本代表に選ばれ、U-17ワールドカップに出場。2010年には日本代表デビューを果たす。今季、10年間プレーしたFC東京を離れて名古屋グランパスへ移籍。

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