鳥栖の選択は吉と出るか。スペイン人新指揮官は「トーレスのお友達」 (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki photo by Osports Photos/AFLO

 そういう意味で、2部で監督を続ける道が険しくなっていたカレーラスにも、期するものはあるはずだ。

 しかし、現時点では、「未知数の監督」と言わざるを得ない。

 カレーラスは、他のJ1スペイン人指導者とは違う。ミゲル・アンヘル・ロティーナ(セレッソ大阪)のように、1部での監督経験が豊富で、スペイン国王杯優勝、チャンピオンズリーグ出場などの場数を踏んでいるわけではない。また、フアン・マヌエル(ファンマ)・リージョ(ヴィッセル神戸)のように、指導論でジョゼップ・グアルディオラなど世界中の識者を魅了するような人物でもない。2人のような海外での監督経験もない。

 では、なぜ鳥栖はカレーラスを招聘したのか?

「アトレティコで選手だった時代、カレーラスはFWフェルナンド・トーレスとチームメイトだった」

 今のところは、そう括られても仕方ないだろう。

 率直に言って、残留争いに巻き込まれていた昨シーズン終盤に鳥栖を率いた金明輝監督は、すばらしい采配を見せていた。5試合で3勝2分け、という成績だけでない。プレーも明らかに改善していた。なにより、現場の評判がすこぶるよかった。本来なら、監督として続投すべきだっただろう。

 はたして、この監督登用は吉と出るのか――。サバデル時代の教え子、クエンカも引き入れた。スペイン人指揮官、カレーラスのお手並み拝見である。

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