エース離脱の清水エスパルス。リーグ2位の得点力を支えるのは誰だ? (3ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • photo by (c)S-PULSE

 そして何より、ドウグラス不在のなかで期待を一身に背負うのは、北川だろう。アジアカップにも出場した日本代表ストライカーが13ゴールを挙げた昨季以上の結果を残すことが、清水の躍進には不可欠となる。UAEから帰国間もないとあって、磐田戦には出場しなかったものの、ピッチの脇には黙々と走りこむ北川の姿があった。

「航也が入るだけで、サッカーの質は変わってくると思います」と、北川のパートナー候補であるチョン・テセが言えば、スウェーデン人指揮官も「攻撃のクオリティ、スピード、パワーを上げてくれると思いますし、得点の嗅覚も示してくれると思います」と、22歳の若きエースに絶大な信頼を寄せている。

 プレー面だけでなく、北川の存在はチームメイトにも大きな刺激を与えているようだ。

「僕だけでなく、航也が代表に行ったことは、うちの若い選手たちの刺激になっています」

 そう語る金子は、北川よりもひとつ年上。後輩の活躍に、自らも代表への想いを強く持つようになったという。

「航也は、目つきも普段の振る舞いも変わりましたし、要求のレベルも上がりましたね。代表から帰ってきてメチャメチャ悔しがっているし、もっと上に行きたいという野望みたいなものが普段からにじみ出ている。そこは代表に行かなければ感じられない部分。航也の態度を見ていると、自分ももっとやらないといけないと感じる」

 金子だけでなく、北川と同い年の松原后、あるいは東京五輪世代の立田悠悟ら、清水には若い世代が着実に台頭し、主軸を担うようになっている。彼らもまた、北川と同じような道を歩みたいと願い、強い向上心を持ってトレーニングに取り組んでいるのだ。

 エースの離脱は確かに痛手だが、新たなスタイルに手ごたえを掴み、新加入選手たちも着実にフィットしてきている。そして、責任感を備えた代表選手の存在がチームをいい方向へと進ませる。新たなサイクルへと突入した清水に、名門復活の予感が漂っている。

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