鳥栖も「バルサ化」。トーレス、新監督、新戦力のケミストリーに注目 (2ページ目)

  • 井川洋一●取材・文 text by Igawa Yoichi

 試合後、カレーラス監督は「プレシーズンを通して負荷をかけているので、疲れは出ている。いいところもあったが、もちろん修正すべき点もあった」と話し、得点シーンについては、「あのようにボールをしっかり動かして、崩してシュートまでつなげ、さらにゴールまで奪うのはとても難しい。しかし、あの形ができれば高い確率で得点になる」と振り返った。

 また、指揮官が試合中に何度も要求していたパス回しのスピードに関しては、「まだまだ満足していない。もっとよくなるはずだし、そう信じなければならない。ボールを早く動かすことができれば、相手に脅威を与えられるから、そこを突き詰めていきたい」と続けた。

 ゲームキャプテンを務めたトーレスにも話を聞くと、「今日は結果もよかったし、ポジティブなことが多かったと思う。もちろん、まだまだやることはたくさんあるけど、新しいスタイルへ意欲的に取り組んでいるところさ」と前向きに答えた。アトレティコ・マドリード時代に一緒にプレーしたことがある新指揮官とは"旧知の仲"だ。選手と監督の間柄となった今、どんなケミストリーが生まれるだろうか。

 新たな試みを楽しみにしているのは、ほかの選手も同じ。セントラルMFの一角を任された原川も、「去年とやることが変わりましたけど、意欲的に取り組めています」と言う。

「個人的にスペインのリーグをけっこう見るので、カレーラス監督の采配にはすごく興味があります。まだスムーズではないところもありますけど、今はプレシーズンなので、試合を重ねていけばもっとよくなると思う。やるべきことを頭と体に叩き込んで、何も考えずに自然にできるようになればいいですね」

 2000年代後半から2010年代前半にかけて、W杯南アフリカ大会(2010年)とEURO(2008年、2012年)を制したスペイン。そこから学ぼうとするクラブは日本にも増えている。バルサ化を推し進めるヴィッセル神戸に続いて、鳥栖も大きく舵を切った。楽しみな新シーズン開幕まであと少しだ。

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