17歳久保建英ら若手に31歳太田宏介が要望。「もっと尖って」 (2ページ目)

  • 井川洋一●取材・文 text by Igawa Yoichi

 1次キャンプでの3試合は2勝1敗(大宮と町田に勝利、長崎に敗北)。勝敗そのものが重要ではない時期だが、選手会長を務める太田宏介は次のように見解を述べた。

「自分の経験的に、キャンプやプレシーズンの試合ではあまり結果が出ないほうが、実際のシーズンにはうまく入れるような気がします。去年もプレシーズンは1敗もせず、ほぼ完璧な内容と結果だったのですが、シーズン序盤戦はつまずきましたから。何が正解かはわからないですね。今の時期に勝つに越したことはないと思う一方で、負けから学ぶこともあるし、課題が明確になったほうがいいとも思います」

 2018シーズンの副キャプテン(今季は未定)は新シーズンの目標について、「もちろん優勝を目指して戦うけれど、現実的にはACL出場権獲得(3位以内)ですかね。挑戦者であることは間違いないので。去年は6位でしたが、夏以降勝てなくなったし、内容には満足していない。得点も、攻撃のバリエーションも少なかった」と語った。

 大田自身は昨シーズン、小川諒也とのポジション争いに晒されたが、「(若手の突き上げは)もっともっとほしい。年上の選手がそれに負けずに、みんなが競争をするようになればいい」と激化する定位置争いを喜ぶ。

 31歳となり、「(年齢順では)上から数えた方が早くなった」太田は、2015-16シーズンの途中から約1年間、オランダのフィテッセでプレーした。その経験を若手に伝えることもあるのかと聞くと、「今の若手は、びっくりするぐらい、何も聞いてこない(笑)。自分が若い頃は年上の選手にいっぱい話しかけて、たくさん吸収したいと思っていたけれど。試合に出たいとか、活躍したいとか、そういう気持ちを態度や姿勢で示してほしい。(若手は)もっと尖ってほしい」と願う。

 これは、チーム全体の成長を考えてこその言葉だろう。日焼けした顔に汗が光るベテランは最後に、「自分は去年、FKから1点しか取れなかったので、今年は2点取ります」と言ってバスに乗り込んでいった。

 かつてエールディビジで武者修行した31歳と、バルセロナの下部組織に所属した経験を持つ17歳。首都のクラブが3度目のACL出場権を手にするには、彼らの活躍が欠かせない。

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