Jリーグ初の低酸素ルームも。新設「ラボ」が湘南の新戦力を強くする

  • 井川洋一●取材・文 text by Yoichi Igawa
  • photo by Getty Images

 この2月で28歳になる身長195センチのストライカーは、今から10年ほど前、Jリーグを経験せずにスペインのプロクラブと契約した初めての選手となった。柏レイソルの下部組織からファーストチームには昇格できなかったが、在日スペイン人指導者の誘いで当時スペイン2部のジローナ(現1部)のテストを受け、入団を勝ち取ったのである。

 しかし欧州では複数のクラブを渡り歩くことになり、セビージャで一度だけファーストチームのリーグ戦に出場したものの、1部リーグでこれといった結果を得ることはなく、2014年に帰国。アルビレックス新潟で約3シーズンを過ごしたあと、ここ2年は千葉でJ2を戦っていた。最後に二桁得点を記録したのは、ベルギー2部のオイペンに所属していた2012−13シーズン。ただし昨季はあと1点でそれ以来の二桁に近づいており、曺監督とベルマーレはその姿を見逃さなかった。

「去年の12月に曺さんと話して、一緒にやろうと熱く誘ってもらったんです。自分もここだったらやりたいと思って、決断しました」

 会見後の懇親会で話しかけると、指宿はそう話した。では、新天地に期待するものは?

「湘南のトレーニングはすごくきついと聞いている。正直に言って僕自身、走るとか、戦うといったところが得意ではないので、そこが磨かれれば、もっともっと成長できるはず。日々の練習を100%でやり続け、自分ができることを示して、チームにも馴染んでいく。出番が来るまで、完璧な準備をするだけです」

 初対面ながら、失礼に聞こえるかもしれない質問も投げてみた。これまでのキャリアは、10年前に広く報道された頃に自分が思い描いていたものとは違うはず。曺監督は燻っている才能を引き出すことに長けた監督なので、その意味でも期するところは大きい?

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